知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

小説

ご無沙汰しております

ご無沙汰しております、茸です。 記事を書くのは昨年10月以来です。 本はずっと読んでいたのですが、なかなか書く気力が湧かなかったので今日までご無沙汰してました。 さて、久々に書き綴りますよっと。 今回はそれまでに読んだ中で面白かった本を4冊紹介…

ー敢えて聞く。お前に心はあるか。ー『機巧のイヴ』

機巧のイヴ 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る SF時代小説というジャンルになりましょうか、ロボットと時代物という正反対の成分をぶっこんだ面白い小説でした。外連味の効いた…

何ということだ。あいつは何をしてくれたんだ……厩戸皇子。ー『爆撃 聖徳太子』ー

■茸氏、思わずタイトル買い 『爆撃 聖徳太子』 これは衝撃的すぎますね。 書店で思わず二度見してしまいました、「聖徳太子」と「爆撃」ゼッタイにありえない組み合わせのこれらの言葉。 帯の文句には ー変人・聖徳太子に振り回される凡人・小野妹子。 とあ…

DynaMito Mitsukuniーダイナマイト 黄門様ー『光圀伝』

■破天荒黄門様 これほどまでに、水戸光圀を清濁併せ持つdynamicな人物として描いた小説はないだろう。 光圀という男はどう生きたのか?痛快に描いたのがこの物語だ。 「助さん、格さん、少し懲らしめてやんなさい!」 から始まるおきまりの勧善懲悪ストーリ…

世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいるー「ペンギンハイウェイ」&「夜行」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 一週間ぶりのご無沙汰である。 森見氏の小説といえば、京都を舞台に知的ではあるのだがなんだか面倒臭い腐れ大学生あるいはタヌキが主人公の物語が多い。 今回は京都が舞台でなく、腐れ大学生も主人公でないSF作品である。 森見氏…

先輩と黒髪の乙女の奇妙な恋ー「夜は短し歩けよ乙女」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 今春、森見登美彦氏の名作「夜は短し歩けよ乙女」が映画化されるとのこと。 勿論、私は映画を観に行くつもりである。 その時、横に黒髪の乙女が居れば完璧なのだが、世の中は厳しい。 ○ 良い機会なので今一度、「夜は短し歩けよ乙…

現代の「スマホ禍」~新しい道具との付き合い方を考えよう~『文字禍』

中島敦 文字禍(青空文庫リンク) 私の好きな作家の一人に中島敦がいる。 出会いは、中学時代に読書感想文で、彼の代表作『山月記』を読んだ時だ。 文体が漢文調で難しかったが、内容に引き込まれた。 人生で折に触れて読み返し、私の人生に大きな影響を与え…