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知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

烏帽子じゃないから恥ずかしくないもん『殴り合う貴族たち』

殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫)

 『真田丸』が最終回を迎えた。視聴率は、最近の大河ドラマには珍しく、高視聴率をキープしていたようだ。一方、低視聴率に連発した大河があった。・・・それは、4年前の『平清盛』である。しかし、私は、『平清盛』が…大好きなのだ!

 『真田丸』も、もちろん楽しく見させていただいた。しかし、『真田丸』には決定的に欠けている要素があった。清盛にあって、真田丸にないもの・・・

それは・・・

      貴族

・・・である。えっ、清盛って武士の物語じゃないの?って思った、そこの御仁、甘いぞ、甘すぎる。

 貴殿らは、貴族というのは、風雅を愛し、和歌を詠んで、蹴鞠で遊んでいるおじゃる丸だと思っていないだろうか。はたまた、あさきゆめみし のような、光源氏のような貴公子だと思っていないだろうか。だが、その真の姿は…

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 こんな奴らです。その生態は、権謀術数を張り巡らし、策略と謀略によって、武力を用いず、自らの手は決して汚すことなく、政敵を追い詰め消し去っていく、とっても卑怯な人たちなのだ。

 私は、剣や槍の斬り合いよりも、こっちのほうが大好きだ、ゾクゾクしてくる!

 そして、武士に武力で追い詰められ、『ひっ、ひいいい!』と逃げ惑い、その哀れな姿に、快感すら覚える!

 ・・・失礼、興奮して取り乱してしまったようだ。とにかく、大河ドラマ平清盛』は、こんな貴族たちがたくさんいて、私はとても楽しむことができたのだ。

 今回紹介する、この本は、そんな貴族たちの意外な武闘派の側面を教えてくれる。私の大好きな権謀術数ではなく、文字通り物理的に気に入らない奴を宮中で殴り飛ばしてしまう、そんなアクティブな実態を、当時の貴族の日記から本書は様々なエピソードともに紹介している。

 本書に、何度も書かれているが、当時の貴族たちにとって頭にかぶる「烏帽子」というのは「パンツ」と同じぐらい大事なものなのである(女性とあれを致すときも、つけているぐらいだ)。ゆえに人前で、これを取られるということはとっても屈辱的なことなのだ。そして、貴族たちは。騎馬戦のように、相手の烏帽子を取り合うのである。ズボンおろしに盛り上がる中学生か!

 だが、貴族たちは、たとえ、ふんどし一枚になっても烏帽子があればいいのであろう。そして彼らは言うはずだ、

 「烏帽子じゃないから恥ずかしくないもん!」

と。