知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

家族の相対化する『社会人類学-アジア諸社会の考察-』

社会人類学―アジア諸社会の考察 (講談社学術文庫 (1540))

 教師をしていると、様々な家族のあり方があることに驚かされる。自分の家族が当たり前だと思っていたが、世の中には家族の数だけ家族の形があるのだと。その違いに四苦八苦する毎日だといっていい。

  そんな中、この本を思い出した。大学時代にレポートで読んだ本だ。結構、小難しい本で、今更全部読み直す元気もないが、思い出すのは「交叉イトコ婚」、「末子相続」、「エグゾガミー」などという専門用語だ。覚えているのは、この本を読んだ時も、「家族」とう概念の曖昧さを感じたということだ。

 どの社会にも、その社会に応じて、正しい家族のあり方が作られていく。長子相続が当たり前の社会もあれば、末子相続が当たり前の社会もある。どちらかがおかしいわけではない。

 世間では、去年は夫婦別姓裁判、今年は、某○ッキーの不倫問題もあり、最近は家族や結婚のあり方を考えさせられることが多い。某靴下を履かない人のように「不倫は文化だ」というつもりは毛頭ないが、今一度、自分にとっての「正しい家族」のあり方を相対化する良い時期なのかもしれない。

 小難しい本ではあるが、パラパラと興味のあるところだけ読んでもいいと思う。関心を持たれた人はぜひ。

 (文学部一年生のレポートみたいになってしまいました。。。)