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知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

我が内なるサメを探してー『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』ー

 

先週、都内へ出かけたついでに、国立科学博物館で開催されている「卵からはじまる形づくり~発生生物学への誘い~」を観に行きました。

 

www.kahaku.go.jp

 

たった1個の受精卵から始まり、我々ヒト1人になるまでの発生過程を非常にわかりやすく展示してあり、大学も生物学を専攻していた茸氏も大満足の内容でした。

 

もともと、発生生物学には興味があり、大学でも勉強して「知ってた」つもりでいましたが、案外知らないことが多くて新鮮でしたね。

これだから国立科学博物館にはいつ行っても楽しいのだ!

 

高校生物で習う胚発生については、動画、実際の胚発生の染色標本、立体模型が展示されていて、いやぁ、これがもう、本当に素晴らしい!大学院を出た後でもなお魅入ってしまう濃い内容!

 

6/11まで開催されていますので、是非とも行ってみてもらいたい企画展です。

 

細胞の塊から複雑な生物体が作られていくのか?

①カラダ作りの基本は細胞塊から「管」を作ること

②神経管に沿った体節の繰り返しで複雑化

脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)は生まれた後の姿形は

 違えど、胚発生の一部の過程は非常にソックリ!

 

この部分をちょっと意識して観て回ると色々な発見ができて面白いと思います。

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茸氏は博物館等に行った後、その展示に関する書籍を買って読むという癖がありまして、今回も発生生物学関連の書籍を漁りに書店へ足を運びました。

 

そう!見聞きしたものに影響されやすいのだ!

 

そこで今回の書籍「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」が狙いすましたかのごとく特設コーナーに置いてありました。迷わずお買い上げです。

 

我々ヒトの複雑怪奇なカラダは如何にしてこのカタチに成ったのか?

 

本書では古生物学、解剖学、進化発生学、ゲノム学の成果を駆使してヒトの形に至るまでの生命進化のなんともたくましい増改築の歴史を見せてくれる。

 

 

驚くなかれ、精巧に作られたヒトのカラダだが、実際は太古の先祖より受け継がれてきたカラダの増改築と部品の転用、リフォームを繰り返してなんとか機能するようにやりくりしてきた結果なのだ。

 

なので、ヒトのカラダというのか完璧な美しい設計にはなっていない。

神経や血管の配線具合は迂回したり入り組んでいたりと、なんとも場当たり的に増設したようなのだ。

 

 

脊椎動物のカラダ作りの基本設計<ボディプラン>は魚類である!

魚類の持つボディプランを少しずつやりくりしながら発展させていくことで、両生類から哺乳類、ひいてはヒトに至る複雑怪奇なカラダ作りが実行されるのだ。

 

例えば、

・鰭のパーツを改造(骨を長くして腕に)して手脚を作る

・顎に使っていた一部の骨を転用して耳小骨を作る

・側線(水流を検知する器官)を転用して三半規管を作る

などなど、我々のカラダの中に内なる魚を見ることができるのである。

 

驚くべきは、脊椎動物のカラダ作りは魚類でのボディプランの変奏であり、太古の先祖より受け継いだボディプランというテーマをそのままに追加、転用、修正を繰り返してこれほどまでに多彩な姿形を生み出しているということ。

 

そう、ヒトもニワトリもヘビも魚のカラダの極端で壮大なバリエーションの結果の産物なのだ!

 

 

詳しくは本書で。

 

因みに、茸氏が最も興味惹かれるのは、頭の起源、鰓弓(咽頭弓)の変化です。

頭の形成は本当に複雑な大工事をしているんですよ、これが。

 

魚類で鰓を作るためのパーツであった鰓弓を進化の過程で、顎、顔面、耳(耳小骨)、喉、甲状腺などに転用していったのである。

 

魚類になる前の脊索動物(現生のナメクジウオ)であった頃は、海水と砂ごと吸い込んだ餌を漉し取る装置だった鰓裂が、長い脊椎動物の進化の中でナメクジウオもビックリの大変貌を遂げたのだ!

 

 

ありがとう、ナメクジウオのご先祖様!

 

あなた方が脊索や鰓裂といったカラダの基本設計を作らなければ我々は生まれなかったのだから。

 

極端な言い方ではあるが、ナメクジウオのボディプランの極端なマイナーチェンジによって、ヒトに至るまでの脊椎動物の複雑なカラダ作りが可能となっている。

 

そりゃぁ、0からカラダを設計するより既存のものをちょっとずつ修正していく方が楽ですよね。

 

レポート等のコピペ&ちょっとしたオリジナリティの加筆修正と同じですね(笑)