「0.001秒の悪魔」を描いたギャグ漫画『ドミノキック 並べられたドミノをキックしたらどうなるのかしら?』
日常生活で、ある時ふと、この状況でもしこんなことをしてしまったらやばいことになるんだろうなーというような妄想をしたことはないだろうか。
(例えば、葬式中に坊主の頭を引っ叩いたらどうなってしまうのだろう・・・みたいな)
自分は結構そういうことがあって、そんな自分は危ないやつなのではないだろうかと思っていたのだが、案外、そういう人は多いようなのだ。多かれ、少なかれ、みんな経験があることらしい。
さよなら絶望先生の第199話(単行本20巻)では、似たような例で、「0.001秒の悪魔」として、ふと頭によぎる自己破壊願望が紹介されている。
今回、紹介するこの漫画は、この性質を強く持っていて実際それを行動に移してしまうという困ったお金持ちのお嬢様を主人公としている。そして、そのお嬢様に仕える執事が、お嬢様の衝動的な行動が目立たないように「フォロー」をしていく。そのフォローがあまりにも斜め上をいっていて、笑えてしまうギャグ漫画である。
もともとはニコニコ静画に無料で公開されていたもので、それに新しい話が加えられ単行本化されたのが本書である。現在も、無料で公開されている部分もあるので、興味を持たれた方はぜひ読んで見られたし。
追記
以下の点で、この漫画は、鋭く現代社会をえぐる部分があるのではないかと考える。
①お嬢様は、常に性的に下品な単語を叫びたいという衝動を抱えている。
⇒これは、フロイト的な性的衝動(リビドー)を示しているのではないか?
(お嬢様は、いわゆる肛門期に固着しているのでは?)
②衝動を常に発散することで健全な社会生活をお嬢様はおくれている。
⇒現代社会で、我々は性的衝動(リビドー)を押さえつけている。
現代は、これが行き過ぎているのではないか。
我々は、もっと衝動を「適度」に発散することが必要なのではないか。
この作品は、その重要性を訴えているとも考えられる。
③執事の行動によって、お嬢様の行動を皆、忘れてしまう。
⇒我々は、大きな事件が起きると、それまでの軽微な事件を忘れしまう。
この作品は、現代社会のそのような現代人に警鐘を鳴らしているのでは?