知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

本の紹介

ー敢えて聞く。お前に心はあるか。ー『機巧のイヴ』

機巧のイヴ 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る SF時代小説というジャンルになりましょうか、ロボットと時代物という正反対の成分をぶっこんだ面白い小説でした。外連味の効いた…

牟田口化する職場『昭和の名将と愚将』

特に面白いのは、「愚将」の部分でした。 個人というよりは、組織的な部分の問題点を考えました。 今の職場に通じる部分があるのが、とても心配でございました。 ①上層部から出される絶対達成不可能な目標。 ②絶対達成不可能とわかっていながらも、それを言…

生物学と人類学の2つの学問を繋げ‼︎『発酵文化人類学〜微生物から見た社会のカタチ〜』

発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ 作者: 小倉ヒラク 出版社/メーカー: 木楽舎 発売日: 2017/04/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ご無沙汰しております。 今回も表紙買いの一冊です。 「発酵文化人類学」と…

僕らは遺伝子の論理に逆らえるのか『本当は怖い動物の子育て』

久しぶりの投稿です。 わかったこと ・一見すると、「子殺し」という行為は、「種の保存」という観点からみれば、異常で狂った行為だが、動物は「種の保存」のために行動するのではなく、「自分の遺伝子のコピーをいかに多く残していくか」ということを至上…

世の中の99%の問題は筋トレとプロテインで解決する!そう、筋トレは宗教なのだよ。-『筋トレが最強のソリューションである』-

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 作者: Testosterone(テストステロン) 出版社/メーカー: U-CAN 発売日: 2016/01/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (8件) を見る お久しぶりです。 1ヶ月…

我が内なるサメを探してー『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』ー

ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者: ニールシュービン,Neil Shubin,垂水雄二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2013/10/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を…

「意識」の生物学的意義は、神経細胞の維持であるー『唯脳論』ー

意識とはなんなのでしょう? 私を私たらしめている脳の働きを意識とでも言えば良いのでしょうか? つい最近までニーア・オートマタをプレイしていまして、ゲーム内に出てくるアンドロイドや機械生命体たちが「心」について色々葛藤するんです。 鉄腕アトムか…

綺麗事が通用しない時代に読むべき本『政治的に正しいおとぎ話』

最近は、いろんな部分で「本音」で語る人が、もてはやされる時代になっているように感じる。 この「本音」というのは、 あくまでも本当に自分が考えていることではなく、「本音っぽい」ことだ。「本音っぽい」とはどういうことかというと、「世間一般的に正…

何ということだ。あいつは何をしてくれたんだ……厩戸皇子。ー『爆撃 聖徳太子』ー

■茸氏、思わずタイトル買い 『爆撃 聖徳太子』 これは衝撃的すぎますね。 書店で思わず二度見してしまいました、「聖徳太子」と「爆撃」ゼッタイにありえない組み合わせのこれらの言葉。 帯の文句には ー変人・聖徳太子に振り回される凡人・小野妹子。 とあ…

生物のデザイン、どうしてこうなった⁉︎ー『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』ー

「カンブリア大爆発」という言葉を聞いたことのある読者諸氏もおられるだろう。 現生生物のデザインとは似ても似つかない奇妙奇天烈摩訶不思議な古代生物たち、「バージェス頁岩動物群」である。 パッと見、エイリアンのような姿形をした彼らであるが、多細…

古典文学のカバーアルバム。 古典って結構おもろいやん‼︎ー「日本文学全集08」ー

茸です。 この前、書店でふと目に留まった「作家と楽しむ古典」という本を読みました。 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首 作者: 池澤夏樹,伊藤比呂美,森見登美彦,町田康,小池昌代 出版社/メーカー: 河出書房新社 …

細かいことはどうだっていい!宇宙はそうなっている!ー「すごい宇宙講義」ー

昨年は重力波の観測に成功し、つい先日には地球から約40光年先の恒星系で地球型系外惑星が7つ発見されましたね。 3つの惑星がハビダブルゾーンにあり、生命の存在する可能性があるとされていますが、地球外生命の定義は何でしょうね?地球生命と同じシステム…

DynaMito Mitsukuniーダイナマイト 黄門様ー『光圀伝』

■破天荒黄門様 これほどまでに、水戸光圀を清濁併せ持つdynamicな人物として描いた小説はないだろう。 光圀という男はどう生きたのか?痛快に描いたのがこの物語だ。 「助さん、格さん、少し懲らしめてやんなさい!」 から始まるおきまりの勧善懲悪ストーリ…

脳が創る感覚、そこに実体は在るか?ー『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』ー

茸氏、このところ小説書評が続いておりましたので、今回は理系本です。 感覚というものは人それぞれに異なるもの。 「私の視ている赤とんぼとあなたが視ている赤とんぼは、果たして同じ『赤とんぼ』なのか?」 否。 私が視ている「赤」を他人は「橙」と視る…

世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいるー「ペンギンハイウェイ」&「夜行」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 一週間ぶりのご無沙汰である。 森見氏の小説といえば、京都を舞台に知的ではあるのだがなんだか面倒臭い腐れ大学生あるいはタヌキが主人公の物語が多い。 今回は京都が舞台でなく、腐れ大学生も主人公でないSF作品である。 森見氏…

先輩と黒髪の乙女の奇妙な恋ー「夜は短し歩けよ乙女」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 今春、森見登美彦氏の名作「夜は短し歩けよ乙女」が映画化されるとのこと。 勿論、私は映画を観に行くつもりである。 その時、横に黒髪の乙女が居れば完璧なのだが、世の中は厳しい。 ○ 良い機会なので今一度、「夜は短し歩けよ乙…

自らを改変する道具を手にいれたヒト。ー『ゲノム編集とは何か DNAのメス クリスパーの衝撃』ー

ゲノム編集技術「CRISPER/cas9」をヒトは使いこなせるか? 遺伝子組み換え技術によって我々人間の文明が成り立っていると言っても過言ではない。毎日食べる食物は天然物以外全て(広義の意味で)遺伝子組換え食品である。 なぜなら我々の先祖が長い年月をか…

現代の「スマホ禍」~新しい道具との付き合い方を考えよう~『文字禍』

中島敦 文字禍(青空文庫リンク) 私の好きな作家の一人に中島敦がいる。 出会いは、中学時代に読書感想文で、彼の代表作『山月記』を読んだ時だ。 文体が漢文調で難しかったが、内容に引き込まれた。 人生で折に触れて読み返し、私の人生に大きな影響を与え…

「働き放題ブラックプラン」化する労働『ブラック企業~日本を食いつぶす妖怪』

この本は、タイトル通り、いわゆる「ブラック企業」の実態を実際の話を取り上げながている。特に、新卒の若者がブラック企業に就職し、辞めたくても辞められず、心を病んでしまうような事例を数多く取り上げている。20代後半の自分としては、他人事ではな…

諸々の執着を捨てよう『脱「臆病」入門』

センター試験です。大寒波の中、己の人生を賭けた戦いに挑む受験生の皆さんは大変ですね。私も10年前はそんな受験生の一人でした。あれから10年が経ち、あの頃は男子高校生だった私も今では28歳のアラサーとなりました。 有名難関大学に入れば人生安泰‼︎とま…

ビザンツは男のロマンや!『生き残った帝国ビザンティン』

まず最初に自分の思い出について語らせてほしい。自分は、歴史好きが高じて、今の仕事についている。歴史が好きになったきっかけ。その1:一番最初に買ってもらったゲームが、なぜか「信長の野望」。その2:小学校5,6の時に三國無双にハマったこと。(…

ヒトという超共生体~10%HUMAN-How Your Body’s Microbes Hold the Key to Health and Happiness.~『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れ始めた』

あけましておめでとうございます。 正月休みは実家で寝正月してました。友人との飲み、普段よりガッツリ食べて、酒飲んでコタツでそのまま寝落ち。そして、然程運動もせずダラダラと過ごした数日間。その結果、カラダに便秘気味、肌荒れなど不調をきたした。…

お前は受験に落ちた回数をおぼえているのか?『科挙』

冬休みが終わった。 忘年会もしたが、やっぱり今年が終わった気はしない。 なぜなら、もうすぐ、センター試験があるからだ。 受験が終わらなければ、肩の荷は降りない。 生徒も必死だが、我々教師も必死だ。 今でもよく授業中に話すが、 いつの時代も試験と…

組織の維持には敢えて働けない者がいることが大事!!「働かないアリに意義がある」

何故生き物たちは群れるのか?生き物たちが作り上げる社会とは何ぞや? 会社の一員として、社会の一員として、組織の中で働くというのは辛いものだ。 「働かざる者食うべからず」の諺しかり、社会はキビキビ働くことを求めてくる。 特定の人間への仕事の集中…

マキャベリズムからノブレス・オブリージュへ『戦場の精神史』

皆さんは、武士道という言葉を聞いたとき、どのようなイメージを描くであろうか。 正義。 名誉。 忠義。 などなど、おそらく、「義を何よりも重んじて主君に忠誠を尽くす」を想像する人が多いと思われる。しかし、このような美しき武士の姿は、幻想でしかな…

40億年の時を動き続けるエネルギー産生機関、それが生命~「Why is Life the way it is?(邦題:生命、エネルギー、進化)」~

生物学は現実の生物が「なぜ(Why)」そして「どのように(How)」どのように進化してきたのかを明らかにする学問だ。なので、理論的にエレガントであることよりも、現実の生物の在りようを上手く説明できる価値観が大切だと思う。 生命の本質は何か?進化の…

「中国人」とは一体何なのか『紫禁城の栄光』

私は、三国志が好きだ。 義に暑い漢たちのとても格好いい生き様。 私も、そのようにありたいと思ったものだ。 しかし、三国志に登場した「中国人」たちは、今存在しているのか? その答えは、NOだ。(かすかに血が残っていればいい程度であろう) なぜならば…

相反する2つのベクトルで駆動する幸運を蓄積するシステム〜生命というオートマタ(自動機械)〜 『生命のからくり』

生命進化に関する考え方も様々である。前回に続いて生命進化に関する1冊。今回は、情報蓄積システムとしての生物進化だ。 正直、本書で述べられている考え方は非常に衝撃を受けた。生命を『情報を蓄積する動的システム』として捉えている点である。 生命は矛…

烏帽子じゃないから恥ずかしくないもん『殴り合う貴族たち』

『真田丸』が最終回を迎えた。視聴率は、最近の大河ドラマには珍しく、高視聴率をキープしていたようだ。一方、低視聴率に連発した大河があった。・・・それは、4年前の『平清盛』である。しかし、私は、『平清盛』が…大好きなのだ! 『真田丸』も、もちろ…

地球の熱エネルギーが私たち生命を創った⁉︎ 『生命誕生〜地球史から読み解く新しい生命像〜』

何故我々は存在しているのか?その理由を探求するのが哲学・宗教である。この分野については介氏にお任せするとしよう。 対して、如何にして我々は今ここに生きるに至っているのか?を説明するのが科学である。宇宙の成り立ち、宇宙の法則を解き明かすのが宇…

史上最強の赤ペン先生『雍正帝』

教師の仕事についてからというもの、赤ペンの消費量が異常に早くなった。採点はもちろんのこと、毎日提出される学習記録帳なるものにコメントを返してあげなければならない。勉強した時間や内容や、一日の反省。真面目に書く生徒もいれば、他愛もない世間話…

生きるためのスクラップアンドビルドシステム『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』

今年、大隈良典博士が『オートファジー』の研究によりノーベル生理医学賞を受賞した。大学生の頃に細胞質中の不要なタンパク質等を分解するシステム程度にサラッと学んだ程度であった。折角の機会である、今一度、概要を学んでみようとこの本を手に取った。…

家族の相対化する『社会人類学-アジア諸社会の考察-』

教師をしていると、様々な家族のあり方があることに驚かされる。自分の家族が当たり前だと思っていたが、世の中には家族の数だけ家族の形があるのだと。その違いに四苦八苦する毎日だといっていい。 そんな中、この本を思い出した。大学時代にレポートで読ん…