知の望遠鏡

文系教師と理系研究員の本の紹介を中心としたブログです。

発生生物学のすゝめ

久しぶりの記事。 昨年末に書店で『人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち』という本を見つけた。表紙には頭部の解剖図が描かれているので「解剖学の本かな?」と思い、手にとって流し読みしてみると、どうやら人体発生学についての…

「現実世界」は「アウトプット」でしか変えられない

30歳になった。 仕事や私事の環境を変えたい、何かやれることはないか? 何となくだが、読書や旅行、博物館に行ったり色々と知ることには積極的ではあったがそれらの体験を発信することが不足していたと思う。 学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuar…

18歳ときに読んだ哲学本、28歳のときに読んだ仏教本

18歳といえば、高校3年生、大学受験真っ只中でした。 そんなときに読んだ哲学本(笑)です。 哲学本(笑)と書きましたが、とりあえず読んで見てください。 哲学本(笑)と思えたならば、なかなかオタクの教養が高い方です。 どこでこの本を手にしたのかは定…

ご無沙汰しております

ご無沙汰しております、茸です。 記事を書くのは昨年10月以来です。 本はずっと読んでいたのですが、なかなか書く気力が湧かなかったので今日までご無沙汰してました。 さて、久々に書き綴りますよっと。 今回はそれまでに読んだ中で面白かった本を4冊紹介…

恐竜は鳥か?鳥は恐竜か?「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー) 作者: 川上和人 出版社/メーカー: 技術評論社 発売日: 2013/03/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (19件) を見る 恐竜のイメージをぶっ壊してくれた一冊。 恐竜といえば、映画「ジュ…

部屋を片付けて気づいたこと

先頃、介氏に手伝ってもらい部屋の片付け&模様替えをしました。 介氏に感謝。 学生時代からずっと使用していたモノ+就職してから買い足したモノ など 4年分ごっちゃになっており、これらを一気に整理しました。 この作業で部屋の中の物量が約半分になりま…

片付けに関する自分なりの考えをまとめてみる『人生がときめく片づけの魔法』

今回は、本の紹介というよりは、これらのいわゆる片付け本をたくさん読んできた中で、自分の中に形成された片付け哲学なるものをまとめてみようというものです。 ちなみに、この休みは、茸氏の家で部屋の片付け・模様替えを手伝っていました。彼にも役立つこ…

ー敢えて聞く。お前に心はあるか。ー『機巧のイヴ』

機巧のイヴ 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る SF時代小説というジャンルになりましょうか、ロボットと時代物という正反対の成分をぶっこんだ面白い小説でした。外連味の効いた…

牟田口化する職場『昭和の名将と愚将』

特に面白いのは、「愚将」の部分でした。 個人というよりは、組織的な部分の問題点を考えました。 今の職場に通じる部分があるのが、とても心配でございました。 ①上層部から出される絶対達成不可能な目標。 ②絶対達成不可能とわかっていながらも、それを言…

生物学と人類学の2つの学問を繋げ‼︎『発酵文化人類学〜微生物から見た社会のカタチ〜』

発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ 作者: 小倉ヒラク 出版社/メーカー: 木楽舎 発売日: 2017/04/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ご無沙汰しております。 今回も表紙買いの一冊です。 「発酵文化人類学」と…

僕らは遺伝子の論理に逆らえるのか『本当は怖い動物の子育て』

久しぶりの投稿です。 わかったこと ・一見すると、「子殺し」という行為は、「種の保存」という観点からみれば、異常で狂った行為だが、動物は「種の保存」のために行動するのではなく、「自分の遺伝子のコピーをいかに多く残していくか」ということを至上…

世の中の99%の問題は筋トレとプロテインで解決する!そう、筋トレは宗教なのだよ。-『筋トレが最強のソリューションである』-

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 作者: Testosterone(テストステロン) 出版社/メーカー: U-CAN 発売日: 2016/01/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (8件) を見る お久しぶりです。 1ヶ月…

我が内なるサメを探してー『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』ー

ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者: ニールシュービン,Neil Shubin,垂水雄二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2013/10/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を…

「意識」の生物学的意義は、神経細胞の維持であるー『唯脳論』ー

意識とはなんなのでしょう? 私を私たらしめている脳の働きを意識とでも言えば良いのでしょうか? つい最近までニーア・オートマタをプレイしていまして、ゲーム内に出てくるアンドロイドや機械生命体たちが「心」について色々葛藤するんです。 鉄腕アトムか…

綺麗事が通用しない時代に読むべき本『政治的に正しいおとぎ話』

最近は、いろんな部分で「本音」で語る人が、もてはやされる時代になっているように感じる。 この「本音」というのは、 あくまでも本当に自分が考えていることではなく、「本音っぽい」ことだ。「本音っぽい」とはどういうことかというと、「世間一般的に正…

何ということだ。あいつは何をしてくれたんだ……厩戸皇子。ー『爆撃 聖徳太子』ー

■茸氏、思わずタイトル買い 『爆撃 聖徳太子』 これは衝撃的すぎますね。 書店で思わず二度見してしまいました、「聖徳太子」と「爆撃」ゼッタイにありえない組み合わせのこれらの言葉。 帯の文句には ー変人・聖徳太子に振り回される凡人・小野妹子。 とあ…

生物のデザイン、どうしてこうなった⁉︎ー『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』ー

「カンブリア大爆発」という言葉を聞いたことのある読者諸氏もおられるだろう。 現生生物のデザインとは似ても似つかない奇妙奇天烈摩訶不思議な古代生物たち、「バージェス頁岩動物群」である。 パッと見、エイリアンのような姿形をした彼らであるが、多細…

古典文学のカバーアルバム。 古典って結構おもろいやん‼︎ー「日本文学全集08」ー

茸です。 この前、書店でふと目に留まった「作家と楽しむ古典」という本を読みました。 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首 作者: 池澤夏樹,伊藤比呂美,森見登美彦,町田康,小池昌代 出版社/メーカー: 河出書房新社 …

ひねくれ者の名言集『ラ・ロシュフコー箴言集』

先日、卒業式を迎えた。 生徒にとっては一生に一度のことだが、教員にとっては毎年のイベントの1つだ。 そこでいつも困るのは、スピーチだ。 人前で喋らなければいけないことが多く、何か「良いこと」を言わねばならないのだ。 そこで、便利なテクニックは…

細かいことはどうだっていい!宇宙はそうなっている!ー「すごい宇宙講義」ー

昨年は重力波の観測に成功し、つい先日には地球から約40光年先の恒星系で地球型系外惑星が7つ発見されましたね。 3つの惑星がハビダブルゾーンにあり、生命の存在する可能性があるとされていますが、地球外生命の定義は何でしょうね?地球生命と同じシステム…

「0.001秒の悪魔」を描いたギャグ漫画『ドミノキック 並べられたドミノをキックしたらどうなるのかしら?』

日常生活で、ある時ふと、この状況でもしこんなことをしてしまったらやばいことになるんだろうなーというような妄想をしたことはないだろうか。 (例えば、葬式中に坊主の頭を引っ叩いたらどうなってしまうのだろう・・・みたいな) 自分は結構そういうこと…

DynaMito Mitsukuniーダイナマイト 黄門様ー『光圀伝』

■破天荒黄門様 これほどまでに、水戸光圀を清濁併せ持つdynamicな人物として描いた小説はないだろう。 光圀という男はどう生きたのか?痛快に描いたのがこの物語だ。 「助さん、格さん、少し懲らしめてやんなさい!」 から始まるおきまりの勧善懲悪ストーリ…

初めて彼女を部屋に呼んだ時に一緒に見るべき!『ドキュメント太平洋戦争』(涙腺崩壊!号泣必至!)

こんにちは。 今日は、僕のおすすめのDVDを紹介しようと思います。 それは「ドキュメント太平洋戦争」。 1992年に放送されたのNHKスペシャルのシリーズをDVD化したものです。 何かで見てすごい感動したのを覚えていて、ついに今回DVDBOXを買ってしまいま…

脳が創る感覚、そこに実体は在るか?ー『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』ー

茸氏、このところ小説書評が続いておりましたので、今回は理系本です。 感覚というものは人それぞれに異なるもの。 「私の視ている赤とんぼとあなたが視ている赤とんぼは、果たして同じ『赤とんぼ』なのか?」 否。 私が視ている「赤」を他人は「橙」と視る…

世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいるー「ペンギンハイウェイ」&「夜行」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 一週間ぶりのご無沙汰である。 森見氏の小説といえば、京都を舞台に知的ではあるのだがなんだか面倒臭い腐れ大学生あるいはタヌキが主人公の物語が多い。 今回は京都が舞台でなく、腐れ大学生も主人公でないSF作品である。 森見氏…

哲学を学ぶには『Century books―人と思想』シリーズがおすすめ!

教員になってから、倫理という科目を教えなければならなくなった。 専門的には、本当は世界史を教えたかったのだが、人が足りないというからしょうがない。社会科という教科は、結局オールマイティーにできなければならないのだ。 (今や地理・世界史・日本…

茸氏、御朱印帳を持って、神社を巡る。

読者諸賢、ごきげんよう。 寺社仏閣巡りはいい。 寺社仏閣巡りをするために旅行をすると言っても過言ではない。 仏像を巡る旅も良いのだが語ると長くなるので、今回は神社についてである。 色鮮やかな社殿、長くその地に鎮座し古の歴史を感じさせる社殿を見…

理想と現実に挟まれて圧死する教員『反省させると犯罪者になります』

今回は、教員らしく教育関係の本を取りあげたい。 本書は、タイトルがとてもセンセーショナルで何かと話題になった本であるが、伝えたいことは簡潔明瞭であり、以下のよう要約できると思う。 反省文を書かせたりして反省を促すような生徒指導は、形だけの反…

先輩と黒髪の乙女の奇妙な恋ー「夜は短し歩けよ乙女」ー

読者諸賢、ごきげんよう。 今春、森見登美彦氏の名作「夜は短し歩けよ乙女」が映画化されるとのこと。 勿論、私は映画を観に行くつもりである。 その時、横に黒髪の乙女が居れば完璧なのだが、世の中は厳しい。 ○ 良い機会なので今一度、「夜は短し歩けよ乙…

冬はやっぱり鍋。

こんばんは。茸です。 2月になりました。 明後日は立春・節分、暦の上では春へ移り変わる時季だそうです。 このところ、関東の方は暖かい日がぼちぼちあるようですが、東北はやっぱり寒い。会社から帰ってくるだけで、カラダが冷えきってしまう。 やはり、そ…