生物のデザイン、どうしてこうなった⁉︎ー『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』ー
「カンブリア大爆発」という言葉を聞いたことのある読者諸氏もおられるだろう。
現生生物のデザインとは似ても似つかない奇妙奇天烈摩訶不思議な古代生物たち、「バージェス頁岩動物群」である。
パッと見、エイリアンのような姿形をした彼らであるが、多細胞生物の進化の初期に現れた非常に多様性に富んだ生物種なのだ。
甲殻類を含む節足動物の仲間が様々な種に進化した時代、現生生物の分類枠に収まらない、失われた節足動物の系統も多く、どの分類枠なのかはっきりしないものも数多くいる。
本書では、バージェス動物群の発見、分析、どの分類群なのかの同定していった年代記となっており、ちょっと専門的ではあるが読み物として面白い構成となっている。
さて、専門的な話はここまでにして、私の好きなバージェス動物群の一部を紹介。
すごくインパクトのある復元図ですが、ほとんどの生物は数センチ程度、親指程度のちっぽけな生き物たちでした。
“奇妙なエビ”という名を冠するこの時代の王者。
なぜ、こんな名前がつけられたのかは本書を読めばわかります。
他の動物が数センチ程度のサイズでしかなかったのに、アノマロカリスは最大120センチにもなるまさに超弩級。
2本の触腕をくるみ割りのような強力な口で三葉虫などを貪り食っていたようです。
②カナダスピス
いかにもエビ!というかエビ!
エビのご先祖様だそうです。
③オパビニア
5つの眼と1本の長い触手?吻?
どうしてこんなデザインになった⁉︎現生生物からは想像もつかないこの形態、こんなのが当時の海にうようよいたとはロマンがありますよね。
④ピカイア
弱っちくしょぼいナメクジみたいなコイツ、こんなでも我らが脊椎動物のご先祖様だと考えられているやつ。
脊椎の前段階である脊索を持っていて体をくねらせて泳いでいたようです。
他の節足動物と比べるとパッとしませんね。
⑤ハルキゲニア
ウインナーに爪楊枝を刺したような生き物。
気持ち悪くも可愛らしいやつ。
○
遡ること20年前、NHKスペシャル「生命40億年はるかな旅 」という番組を母が録画しており、幼少期はこの番組を繰り返し見ていました。
生物進化という壮大なスケールの話を幼稚園生だった私の頭に刷り込むにはうってつけの番組でした。
それとは別に、同時期のNHKスペシャル「驚異の小宇宙人体Ⅱ 脳と心」という番組も繰り返し見ていて、脳の機能や神経細胞の仕組みだったりとちびっこにはあるまじき偏った知識を得ていました。全くもってめんどくさい園児です。
まぁ、当時は学問的なアレには興味なくて、綺麗なCG映像目当てに何度も見ていたのですが、そのうち地球進化や生物進化、人体の不思議などに興味が移っていきました。
今思えば、ミトコンドリアや葉緑体の進化といった細胞内共生説に興味を持ち、大学でミトコンドリアの研究を行ったのもこれがきっかけだったのだろう。
映像の影響力とはおそろしいですね。
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特に、このカンブリア大爆発の回が好きで、当時は珍しかったCGで描かれたアノマロカリスやオパビニアの動く姿などを見るのが楽しかったのを今でも覚えています。
私の興味を自然科学系、特に生物学へ誘うきっかけとなった罪深き古代生物たち。
そして、このような番組を録画し見せてくれた母には感謝するばかりです。
古典文学のカバーアルバム。 古典って結構おもろいやん‼︎ー「日本文学全集08」ー
茸です。
この前、書店でふと目に留まった「作家と楽しむ古典」という本を読みました。
森見登美彦氏が竹取物語を現代語訳するとのことで、軽い気持ちで読んで見ると、これが面白い!
作家ごとに現代語訳にそれぞれのクセや新解釈があって、古典への興味をそそるには十分でした。
特に、町田康氏の「宇治拾遺物語」の訳がずば抜けて面白かったので、それが収録されている「日本文学全集 08」を手に取ったのです。
収録は
・今昔物語 :福永武彦 訳
・発心集 :伊藤比呂美 訳
○
これらの本を読む前までは・・・
古典なんて貴族のやんごとなき日常とか、恋のうたとか、お説教じみた話ばっかだし、高校時代に習った古典はつまらん話ばっかじゃん。
おまけに現代語訳読んでもよくわからんし・・・
などと思っておりました。
読書後はというと・・・
古典おもろいやん‼︎
貴族も坊主も庶民も出てくる人物皆阿呆!
出てくる男は美人を見るとすぐに身分を問わずにそーいう行為に及ぼうとするわ、下ネタは満載だわ、阿呆なことで大盛り上がりするわで、(現代社会なら即警察沙汰ですがね)ある意味現代人よりぶっ飛んでる。
授業で習う古典は毒気のない無難な話だけだったんだと改めて思いました、そんなんじゃぁ古典に興味なんて持てませんよねぇ。
やっぱり、町田康訳の「宇治拾遺物語」はぶっちぎりで面白かったですね。
えぇ、あれはずるい。ちょっとクセになりそうですわ。
まあ、作家さんたちの現代語訳の技量なんでしょうけども(笑)
○
ちょっと真面目な話。
当時の人と死生観と言葉の価値観が随分と現代人と違うと感じました。
・すぐ人が死ぬ。それもあっさりと。
・恋しい、憎いといった感情で人ならざるものに姿を変えることもしばしば
・言葉には呪力がある
言葉に発して誓いを立てると、だいたいそれが現実のものとなる。
うっかり発言が命取りになることもしばしば。
説話集であるせいなのか、想いを込めた言葉を発すると、良くも悪くも巡り巡って自分や子孫にかえってきたりする(因果応報的な感じ)。
○
なんか古典文学と聞くと格調高い感じがしますが、全然そんなことなさそうです。
次は、森見登美彦氏が訳した「竹取物語」が収録された全集を読もうと思います。ハードカバー版はちょっと高いからKindle版が出てくれんかなぁ・・・
ひねくれ者の名言集『ラ・ロシュフコー箴言集』
先日、卒業式を迎えた。
生徒にとっては一生に一度のことだが、教員にとっては毎年のイベントの1つだ。
そこでいつも困るのは、スピーチだ。
人前で喋らなければいけないことが多く、何か「良いこと」を言わねばならないのだ。
そこで、便利なテクニックは偉人の「名言」を引用することだ。
これを使うことで、何か説得力のあるいい話ができるのだ。
今日紹介する本は、そんな時に全く使うことができない、というか絶対使っちゃいけない「箴言」だ(名言ではないく、箴言だ)
こんなものが収録されている。
「我々は、期待があって約束をし、心配があってこれを守る。」
「誰しも、記憶力の悪さを嘆く。そのくせ判断力の悪さは嘆かない。」
「人はせっせと善行を積む。あとで悪事を働いても大目に見てもらえるように。」
「人は普通、褒めてほしいから、褒めるのだ。」
「我々は、自分の意見に与する人ではないと、良識の人とは考えぬ。」
「老いた狂人は、若い狂人よりも、さらに狂っている。」
「我々が、自分の欠点を白状するのは、ただ虚栄のためである。」
「恋をしても、あまり愛さないことが、愛されるための確実な方法である。」
・・・
作者のラ・ロシュフコーは17世紀のフランスの貴族である。詳しくは、フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー - Wikipediaを参照されたい。
彼の箴言には、とにかく皮肉の効いたものが多い。
人間の弱い部分や嫌な部分を少ない言葉で徹底的に暴き立てる。
自分にもそういう部分があるここを感じ、読んでいて恥ずかしくなる。
そんな言葉が、多数収録されている。
なかなか使いどころの難しい言葉たちだ。
でも、スポーツ選手が言うような無駄に前向きな名言は、私はあまり好きになれない。
前向きな言葉は、時にナイフのように自分の心をえぐってくる。
彼の言うような全力で後ろ向きな「箴言」のほうが、私は好きだ。
人間は皆弱いということがわかり、自分は一人じゃないと感じられる。
妙な安心感が得られる、そんな言葉でもある。
人生に疲れたあなたに、ぜひ読んでほしい。
細かいことはどうだっていい!宇宙はそうなっている!ー「すごい宇宙講義」ー
昨年は重力波の観測に成功し、つい先日には地球から約40光年先の恒星系で地球型系外惑星が7つ発見されましたね。
3つの惑星がハビダブルゾーンにあり、生命の存在する可能性があるとされていますが、地球外生命の定義は何でしょうね?地球生命と同じシステムではない可能性は高いと思いますし、そのあたりをはっきりさせないと生命の検知はできないだろうと思います。
どうやって40光年先の惑星系へ探査に行くのかが気になるところです。マクロスに出てくる移民船団のようなものか?それとも宇宙戦艦ヤマトのようなものなのか?ロマンがありますよね。
○
正直、物理は苦手です。今でも学問として勉強するのは気が進みません。
高校生の時、とにかく公式を覚えろと、公式の意味する内容もよくわからずに覚えようとして結局覚えられす、テストで撃沈。
それ以来、物理が苦手になってしまった。
数学の授業で微積分も習っていない時に、運動方程式とか酷だと思うのですよ・・・方程式の意味することがイマイチ分からなかったし。
ただひたすら、運動方程式など使って計算ばかりの物理の授業、目に見えない物理的な力をうまくイメージできなかったことも苦手となった原因だと思います。受験においては、得点効率が悪すぎたので、化学と生物選択でした。
ただ、勉強ではない知的好奇心としての物理や天文学、特に宇宙物理学には興味がありまして、相対性理論、超原理論、量子力学などといった本(非専門書)は学生時代に結構読み漁っておりました。勉強じゃないから楽しいんですよね(笑)
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本書はものすごくわかりやすい!
ブラックホール、暗黒物質、ビッグバン、宇宙創生に至るまで、物理学者や天文学者がどんな実験や観測をしてきたのかを、専門的な部分をサクッと説明してくれているのでスイスイ読める。ちょっと前の本なので、重力波発見については更新されていませんが。
宇宙物理学と素粒子物理学の分野って面白いですよね。
銀河の分布とか宇宙の拡がり方とかの極大の宇宙の理を解明しようとすれば、宇宙を構成する極小の素粒の理を解明することになる、マクロとミクロが表裏一体で繋がっているように思えるところが面白い。
遠くの星を望遠鏡で観ていたらぐるっと回っていつの間にか自分の後ろ姿が観えたようなものでしょうか。
学問的なあれとか細かいことは置いといて、実態があるようでないような量子論もいろいろ好き勝手考えてみるのも面白いです、ゲームやSF好きの自分にとってはグイグイ引き込まれる学問分野ですね。SF好きな人も同じではないでしょうか。
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本書とは関係ないのですが、自宅のPCで簡単に宇宙旅行ができるソフトが国立天文台から配布されています。
↓
Mitaka(ミタカ)は、太陽系・恒星・銀河データを基にした「4次元デジタル宇宙ビューワー」です。地球から宇宙の大規模構造までを自由に移動して、天文学の様々な観測データや理論的モデルを見ることができます。(Mitakaの動作にはWindows 8.1 / 8 / 7 / Vista / XP 対応のPCが必要です。)
http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/
特に、宇宙空間モードが楽しい!
しかも、マウスホイールを使えば空間ワープも思いのままですからね(笑)
高解像度自宅プラネタリウムです、観測事実に基づいて星々が再構築されているのでリアルに忠実なんですね、そこがいい!!
大宇宙にロマンを感じるそこのあなた!おすすめですよ!
http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/mtk_3D_mode.htm
「0.001秒の悪魔」を描いたギャグ漫画『ドミノキック 並べられたドミノをキックしたらどうなるのかしら?』
日常生活で、ある時ふと、この状況でもしこんなことをしてしまったらやばいことになるんだろうなーというような妄想をしたことはないだろうか。
(例えば、葬式中に坊主の頭を引っ叩いたらどうなってしまうのだろう・・・みたいな)
自分は結構そういうことがあって、そんな自分は危ないやつなのではないだろうかと思っていたのだが、案外、そういう人は多いようなのだ。多かれ、少なかれ、みんな経験があることらしい。
さよなら絶望先生の第199話(単行本20巻)では、似たような例で、「0.001秒の悪魔」として、ふと頭によぎる自己破壊願望が紹介されている。
今回、紹介するこの漫画は、この性質を強く持っていて実際それを行動に移してしまうという困ったお金持ちのお嬢様を主人公としている。そして、そのお嬢様に仕える執事が、お嬢様の衝動的な行動が目立たないように「フォロー」をしていく。そのフォローがあまりにも斜め上をいっていて、笑えてしまうギャグ漫画である。
もともとはニコニコ静画に無料で公開されていたもので、それに新しい話が加えられ単行本化されたのが本書である。現在も、無料で公開されている部分もあるので、興味を持たれた方はぜひ読んで見られたし。
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